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2012年10月20日土曜日

✰【INJ Essay】✰「What’s the craic? 天気は悪いが今日も元気!わかふぇよしみのゴールウェイ徒然草」Vol 20~「ゴールウェイオイスターフェスティバル!」✰




「ゴールウェイオイスターフェスティバル!」




やってきました~~!!やってきましたよ~!
R」のつく月がやってきました!!さあ、何がやってきたでしょう~??

そうです!牡蠣の季節がやってきました!

一般的に「SEPTEMBER」「OCTOBER」のように「R」のつく月は牡蠣がおいしいと言われています。
ですので、9月は牡蠣の「はしり」、冬じゅういっぱいはおいしく4月ごろが「名残」、そしてクリスマスあたりの12月から1月くらいが牡蠣の「旬」、この頃の牡蠣の身は、ぷっくり&クリーミーで至極のおいしさですね!







アイルランドの西海岸に位置するゴールウェイ州は「ヨーロピアンフラット」と呼ばれる丸くて平たいかたちの天然牡蠣の名産地です。
日本で一般的に食べられている真牡蠣(こちらではPacific Oysterと呼ばれます)と比べて身は小さくどちらかと言えばすっきりした味わいですが
食べた後、口に残る潮の香りがなんともさわやか!さっき食べたのにこの感覚を楽しみたくてまた食べたくなってしまう、という結構クセになるおいしさが自慢です。


さて、ゴールウェイ湾で取れるこの天然牡蠣、地元ではNative Oysterと呼ばれています。
レモン汁やタバスコをかけて、バターをたっぷり塗ったブラウンブレッドと共に食すのがこちら流。

そして共に飲むのは、アイルランドの国民的ビール、ギネス!です。
ネイティブオイスターは鉄分質が強く感じられる為、ギネスとの相性は抜群です。
牡蠣をつるんと食べてギネスをグイっと一口飲み、ああ~おいしい~。
では、もうひとつ。つるんと食べてグイッと飲む。危険です。永遠のループにはまってしまいます。(笑)










毎年、このネイティブオイスターのはしりの季節、9月の最終週の週末にゴールウェイではGalway International Oyster Festivalが行われます。
今年で58回目となるアイルランドを代表する歴史あるフェスティバルです。

ゴールウェイオイスターフェスティバルの始まりは、1950年代。
観光業が主な産業であるゴールウェイの夏の繁忙期をなんとか少しでも伸ばせないものか、とグレイトサウザンホテル(現メーリックホテル)のマネージャーが、頭を悩ませた苦肉の策でした。

9月からシーズンに入る地元産の牡蠣をホテルのレストランのメニューに載せてみると、手ごたえがあったのでこれをフェスティバルにしたら観光客を増やせるのではどうか、考えたのでした。
各国の大使を招き、牡蠣むき大会や音楽やダンスでもてなしたのが始まりでした。


その後、サンデータイムズには‘世界の12大ショーのひとつ‘として紹介されたり、AAガイドには‘ヨーロッパのベスト7フェスティバル‘と評されるほどのフェスティバルに発展しました。

アイルランドが不景気に陥ったここ数年、最近のゴールウェイオイスターフェスティバルは苦戦しています。
世界の12大ショーも今は昔、ケルティックタイガーを経て、最近台頭してきたさまざまなフェスティバルから比べると古典的なスタイルでバンドと音楽でエンターテイメントされる昔ながらのオイスターフェスティバルは色あせてきました。
そして・・・実は地元の人の多くが「魚嫌い」なのですよ・・・。

意外に感じられるかもしれませんが、日本と同じように海に囲まれた島国であるのに、アイルランド人は魚をあまり食べません。
多くのアイルランド人は肉好きなんです。
アイルランドの近海は北海道と似て豊富な海産物に恵まれたいい漁場があるのですが、ここで獲れる魚の多くはフランス、スペインそして遠く日本にも輸出されています。(よく見てみると日本のスーパーでも「アイルランド産のサバ」とかありますね)
アイルランド人がなぜ魚を食べないのか、よく分からないのですが、需要の少ないアジ等は海上で捨てられているとも聞きます。(私にくれ~!笑)





でも最近になって専門家が魚食は体にいいとメディアを通して宣伝し、水産省も魚をもっと食べよう!とプロモートしているのでレストランの魚メニューが増えたり、シーフードレストランも続々オープンしたりして一般の人々がもっと魚を食べるようになってきています。

私が来た当初の2001年ごろからつい最近まではオイスターフェスティバルのテント内で牡蠣を食べているのはごく一部の人たち、外国人や観光客達で、地元の人たちはビーフロールなんかを食べていました。
牡蠣がいっぱいに載った皿を手にしてオイスターバーと席を何回も往復している友達や私は奇異な目で見られていました。


さて、近年のトレンドを汲んでのことなのか、衰退気味のゴールウェイオイスターフェスティバルのテコ入れを図るためか、オイスターフェスティバルの名前が数年前から「Oyster & Seafood festival」と変わりました。
そしてその名の通り、牡蠣だけでなく、シーフードにもターゲットが広がりテントの中では各有名レストランのブースで、さまざまなシーフードが楽しめるようになりました。
そしてチケットの値段も下がって、テント内だけでなく街の中でもイベントが行われたりして地元の人たちの認知をもっと上げるようなプロモートに努力をしています。












さて、第58回目となるゴールウェイオイスターフェスティバル、今年は日本人にとっては記念すべき年となりました。
というのも、今年の夏初めて東京で行われた「日本牡蠣早むき選手権」の優勝者が日本代表としてゴールウェイオイスターフェスティバルのハイライトである「世界牡蠣早むき選手権」に参加したのです!!


津波で甚大な被害を受けた三陸の牡蠣生産者を応援する目的で開催された、
“三陸の牡蠣生産者を応援 オイスターフェスティバルin TOKYOで全国から集まった選抜メンバー20人の中から日本代表が選ばれました。
そしてその日本チャンピオンが三陸の地域活性化の希望と光を背負って世界牡蠣早むき大会の地、ゴールウェイにやってきました!!

日本では一日1000個の牡蠣をむいているという名古屋のオイスターバーの料理長を務める藤井さん国際大会で世界制覇も果たすのでしょうか!

今回の日本からの一行には、三陸牡蠣の養殖生産者や販売業者の方も含まれていました。
震災後、東北の牡蠣の復興の為にSAVE SANRIKU OYSTERSというプロジェクトを立ち上げ、漁業者の支援を行ってきたとの事です。






今回ゴールウェイの「インターナショナルオイスターフェスティバル」に参加し、三陸の復興と活性化のヒントを得たいとおっしゃっていました。

「三陸を単に震災前に戻すのだけでなく、震災前よりもはるかに素晴らしい地域する。」
「世界に通用する牡蠣を三陸で作って、世界中の人に三陸に来てもらいたい。」と
力強く語っておられました。
















牡蠣むき大会当日は、スパニッシュアーチに参加者が集合し街の中を練り歩きながらテントまでパレードします。
子供たちの鼓笛隊が先導しミス・オイスターパールが乗ったオープンカー、各国の国旗を持った各国の牡蠣むきチャンピオン達の行進と続きます。
日本代表は開催者の計らいからか選手トップでの行進です。

フェスティバル会場では、牡蠣むきの出場者以外はリラックスムードでギネス片手に食事や音楽を楽しんでいましたが、選手たちはみんな緊張の面持ちです。

牡蠣の早むき大会は、出場者17名。それが三組に分かれ、一人あたり30個のNative Oysterをいかに早く、きれいにむけるかを競います。
日本からの代表者、藤井さんは3組目、

「日本からの出場者、藤井。マウントフジ~~!」と紹介され大喝采を受けました。










審判員がひとりひとりの牡蠣30個ずつを確認して開始です。
まず選手全員、牡蠣に触れないように手をあげて、カウントダウン。「54321
司会者が選手ひとりずつ回りながら、開けた牡蠣の数をマイクで伝えます。
各国の選手が次々と30個のオイスターを開け終える中、藤井さんは苦戦していました。

ゴールウェイ入りしてから、初めて「Native Oyster」を開けてみて、その難しさにびっくりしたそうです。
殻がかた~く閉まっている上、日本の真牡蠣は殻の合わさっている部分から開けるのに、こちらの牡蠣は蝶つがいになっている部分からナイフを入れて開けないとうまく開かないようです。
大会前の数時間の練習で、本番前には藤井さんの手は切り傷だらけになっていました。


「フジイ!フジイ!」と日本人が始めたコールが
「フ~ジ!フ~ジ!」と最後は会場全体でのコールになり、最後、藤井さんが30個目のむきあがった牡蠣を大きく上にかざすと、会場から割れんばかりの拍手があがりました!!感動しました!
結果は17人中17位という結果でしたが日本チーム、かなりインパクトありました。




大会の後は各国の選手や観客が藤井さんの元に、握手を求めたり、一緒に写真を撮ってくれとやってきました。
藤井さん、来年はチャンピオン目指して戻ってきてくださいね!!
ちなみに優勝者はゴールウェイで有名なオイスターコテージを経営している「Morans」の息子、Micheal Moranでした。
選手権の様子はこちらです。





牡蠣むき大会後は藤井さんと三陸の牡蠣の生産者代表の品野さんとのトークが行われ、「三陸に笑顔を取り戻したい」,「ゴールウェイに来てパワーをもらいました」とのお話をされました。

牡蠣養殖を手掛かりとした、三陸の復興と活性化。熱い思いを抱いたこんな人たちがいれば、いつの日か実現するでしょう。
三陸のみなさん、ゴールウェイから応援しています。
ユーラシア大陸を隔てた両端にある島国同士の日本とアイルランド、このOYSTERのいいご縁が今後とも続きますように。
そして来年もゴールウェイオイスターフェスティバルでお待ちしていますね。

















では、最後に牡蠣を使った英語の表現、シェークスピアから来ているようですが

`THE WORLD IS YOUR OYSTER!!`

「この世はあなたの思うようになる」「自分次第」
というような意味だそうです。

何事も自分次第です!



今日も元気にまいりましょう♪

よしみ@わかふぇ 


Photo Courtesy:YOSHIMI HAYAKAWA

(アイルランド共和国現地 10/18ゴールウェイ電)







アメリカ最古の伝統を誇るマーチングバンド

University of Notre Dame Band

ゴールウェイのランドマーク The Kings Headに登場!アイリッシュを熱狂させました!