「アイルランドの恋愛事情」
わたくし、わかふぇのよしみ、独身彼氏なしまだ妙齢(のつもり(笑))の女性です。人生ビジネス一筋と思っていたのですが、夏が終わったと思ったらなんだか毎日会う男性ができました。そんな訳で毎日忙しくしていたので今回の原稿遅くなりました、すみませんでした。(笑)
このゴールウェイ通信、どうせ身内しか見てないだろうから、ぶっちゃけでお話ししますね。
その男性、とある遅い夏の昼下がり、ふらりとひとりでわかふぇに入って来たお客さんでした。彼曰くゴールウェイに住んでいるけれど、わかふぇの存在は知らなかった(なんてこと!?)、ここに来るのは初めてだし日本食は食べ慣れていない、というので、その時ウェートレス兼シェフとしてひとりで暇な時間帯の店番をしていたわたしは、他にお客さんがいなかったのもあって丁寧にメニューの説明をし、何でもいいから選んでくれという彼の為にお弁当のセットを選んであげ、調理、サーブし、箸の使い方まで教えて彼が食事を楽しんでいるのを確認しつつ、わたしも他の仕事をしながらでしたが、なんでだかとても自然に、彼が食事を終えるまでには私のわかふぇに対する情熱やらゴールウェイに対する思い、わたしのこれまでの人生について次から次へと話していたのでした。そんなに長い時間ではなかったと思うのですが。。
その時は「おいしかった、話して楽しかったよ」と言ってお会計を済ましてお帰りになりました。まあ、これが普通のお客さんです。よくあることです。わたしもおしゃべりが好きだし、アイルランドでは接客係のおしゃべりが時にはお客さんにとってもとてもいいエンターテイメントになります。特にゴールウェイでは地元の共同体が密なので例えお客さんと従業員の関係であっても親しくおしゃべりしてコミュニケーションを図ることを求める傾向があります。行きつけの店の接客係が自分の名前付きで気持ちよく挨拶してくれるのは嬉しいことです。「Hello,Yoshimi!」「How are you today, Yoshimi?」。名前付きで話す、というのをアイルランド人は好むようです。ゴールウェイの人たちは特にさみしがり屋なのか、従業員が黙々と働いている店は居心地悪く感じるようで、適度なフレンドリーさを持ってお客さんを迎えてあげるのが重要です。デキるウェイティングスタッフは、このお客さんは声をかけられたいのか、静かに食事を楽しみたいのかきちんと見極めます。そしてたくさん居るどのお客さんも気持ちよく食事できているかどうかを、ちゃんと気配で感じつつ、自分の仕事もどんどんさばいていきます。
ウェイティングスタッフとしての私はおしゃべりのエンターテイメントが得意なようです(笑)。
話がそれました。それで、そんなことがあったことも忘れかけていたある日の夜、またまた暇な日。わたしはひとりでウェートレス、シェフをしてあと10分で閉店、という時間にあのお客さんがやってきました。あ~、また来てくれたんだ~とそしてまた取りとめのない話をしているうち、なんだか終わりそうもなかったので飲みに行こうか、ということになり一杯飲み行き、そして楽しくお互いの話をして、その日は携帯の電話番号を交換して終わりました。
そして、次の日、テキストメッセージが来て・・・。詳しい経緯は忘れてしまいましたが、気が付いたらなぜか毎日会っている。。という間柄になりました。他のヨーロッパ圏もそうなのかアイルランドの特徴なのかよく分からないのですが、仲良くなり始めた時期、「毎日会う」ことはアイルランドでは重要なファクターのようです。ひょっとしたらこの現象はアイルランドというよりもゴールウェイならではの特徴なのかもしれません。先程も言ったように地元の共同体が小さいので人と会うのがそんなにやっかいな事ではありません。じゃ、今から30分後に集合ね、と言ってみんな集まれるような規模ですから。
ある日本人の女の子が言っていたのですが、アイルランド人の彼氏とはパーティーで出会い、話が合ったので携帯番号交換したら、次の日コーヒーでも飲みにいかない?とテキストが来て、コーヒーを飲みに行って、また次の日にテキストが来て、映画見に行かない?と誘われて、一緒に映画を見に行って、またまた次の日はご飯食べに来ない?となって、ご飯食べに行って、またまたまた次の日は・・・・という感じで、なし崩し的に会う状態となり、気がつくと毎日会っているという。。で、最終的に自分たちは付き合っているんだ、と分かったそうです。でも「好きだ」とかいう言葉はなかったそうです。
さて、ここからが本題、よしみのアイルランド恋愛事情考察。。
自分のこれまでの経験も踏まえてずっと疑問に思っていたことがありました。
「いつから付き合っていると判断するの?」
皆さん知っていましたか?アイルランドを含めて、ヨーロッパには「告白」という習慣がないそうです。わたしは長いこと知らなくてどうも変だな、と思っていました。
アイルランド人男性は基本とてもシャイなので、好きな人ができてもなかなか自分からアタックしたりはっきりとした愛情表現をしたりしないようです。なんだか日本人と似ていますね。でも単刀直入な告白制度もない。じゃあ、どうお付き合いをスタートさせるのでしょうか?
ある時、機会があってTVプレゼンタ―のHectorに質問してみたことがあります。
「アイルランド人のカップルはどう付き合いだすの?好きだ、とは言わないよねぇ・・。」
「そう!シャイだからね。いや~アイルランド人の多くの男は君が好きだとは面と向かって言えないよ!!」
その時同席していた数人のアイルランド人男性も「そう、そう」とうなずいて、ある人は「きれいな女性や魅力的で人気のある高嶺の花であればなおさら言えない!」Hector曰く、多くの男性は、大抵べろべろに酔っぱらった状態でまずは気に入った女の子に声をかけることができ、そこで次に会う約束を取り付けデートに誘い、そしてなんか知らないうちに付き合っている、という状況に持ち込むのが通常のようです。しかもそこまでのプロセスに「好きだ」も「付き合ってください」も介在せず。
恥ずかしがり屋で傷つきやすいアイリッシュガイズ達はこれといった大げさな愛情表現はせずとも好きな女の子とは友達の延長のような感じでいつも一緒にいて、自然にお付き合い始めるのがベストと思っているようです。
それに比べアイルランド人女性はとてもオープンで押しも強くワイルドなので、女性が主導権を握り交際をスタートさせている場合も多くみられます(というか、もしかしたらかなりの割合で??)。
この原稿の為にいろいろ本格的かつ独断的リサーチ(笑)をしてみたのですが、ほとんどのカップルは付き合い始めの頃はどちらかが想いを寄せていて、友達として会っているうちにお互いにときめきを感じ、「知らないうちに付き合っていた」という例が多く見られました。いつからとはっきり答えられるカップルは少数派。
英語で彼氏・彼女のことを「Boy friend」「Girl friend」と言いますが、こちらでは男女のお付き合いは友達から派生するものというのが基本の考えだからこそ、「~friend」となるのでしょうか?一目惚れのような特別な場合を除いては友達付き合いを経ずして恋愛関係は生じない感じです。まず友達になってから、なんか気が合うなぁ、一緒にいて楽しいなぁ、もっと一緒にいたいなぁ、となってお互いをよく分かってからお付き合いが始まります。
日本のように告白から始まりお互いの了承を得てからのスタートではないので、どちらか一方が一方的に思いを寄せている可能性もあり、両方が同じ気持ちで向かい合っているかどうかはわかりません。しかしそれを聞いてしまう、というはこちらでは無粋なのか、それもしません。我慢、我慢が大事です。友達以上恋人未満な時期、グレーな時期を経て、晴れて彼氏彼女と認識するのです。しかもどの段階に来て彼氏彼女とするのかは人それぞれです。
先程も触れた、毎日会っているという状況。この状態ではまだ「グレー」です。「毎日会うこと」=「付き合っている」ではありません。でもこの付き合う「going out」も人によって受け止め方が違うようで同じアイルランド人でもこの状況を「付き合っている」と言う人もいれば、そうではなく「ただの友達」と言う人もいます。そして下世話な話、「going out」は肉体関係とイコールでもなく、関係があっても付き合ってないとする人もいるし、関係がなくても付き合っているという意識の人もいます。ほんとうに人それぞれに感覚が違い、すごくすご~~く曖昧で人によって認識が随分違うもの、と私は感じています。
自分たちは付き合っているのかどうなのか、アイルランド人女性、ヨーロッパ圏の女友達も口をそろえて、このグレーな時期をみんな辛いと言います。「彼が私のことを好きなのかどうか」推し量らなければならないこの時期は大きな試練のようです。・・・個人的には日本みたいな「告白の儀式」あったらなぁ。。と思います。日本人は「付き合ってください」と言ってお互いが了承したうえで交際が始まる、ある意味楽っちゃ楽ですよね。「告白」というしきたりがあるお陰で微妙な恋の駆け引きや悶々としたある種の苦しみを伴う時間を短くできる。し、「付き合っている」となれば周りの承認も得られ安心するともに、次の方向性も見えてきます。・・・でもヨーロッパ文化はこれを導入していない。。。それにはきっと訳があるのでしょう。。
ここからはアイルランドというよりもヨーロッパ一般的な恋愛事情になりますが。いいな、と思ったらまずは友達づきあいから始めてだんだん相手のことをよく知り、恋の感情が沸き起こってくるのを待ち、恋の駆け引き?というかそういった事を行動で表して、相手がどう思っているかを探るところから恋は始まります。好きな相手が自分のことをどう思っているか、はっきりと分からないことは辛いですがある意味感情も高まります。次のステップに持っていけるか、そうでないかは2人の感情次第です。焦りは禁物です。空気を感じなくてはいけません。時として感情のタイミングが合わない事もあります。でもそれはそれで恋愛の醍醐味です。あくまでもその時の自分の感情を尊重するのがこちらの恋愛作法、とわたしは受け止めています。最近のスマートでゆとりのあるバブル世代の若い人たちには上手なグレーな時間を楽しむ術を身につけている人が増えて来ているように思います。「Play first. Work next」と誰かが言っていました。「play」というのは遊ぶんじゃなくて先ほど言ったグレーな時期のあいまいな気持ちを楽しむこと、と理解しています。
英語の「friend」と日本語の「友達」。そもそも英語圏の友達という感覚と日本の友達は感覚的にまったく別物の気が(私的には)します。「friend」と「友達」は違うもの差しているような感じ。日本人にとって「友達」というとまず同性を表すのでは?まず最初に異性は来ないでしょう。。でもこちらでは自分の「best friend」が異性であるケースをよく見かけます。友達が「彼氏が異性のベストフレンドにしょっちゅう会ってて、(もしかしたら自分よりも頻繁に)なんか嫌」みたいなことを言っていましたが、こちらでは異性の友達は全然ありです。もちろん彼氏彼女候補としての友達の場合もあり~のなので、見極めが難しいです。
私的には異性の友達は友達で大いにあり得るのですが、ベストフレンドが異性と言うのは、どうだろう、と思います。この先を話し始めると今度は「男女の友情は成り立つか」という題目になってしまうので、今日のところは、この先を言及するのはやめておきましょう。
日本人とヨーロッパ人の間の恋愛関係や人間関係の感覚の違い。考えれば考えるほど、奥深いです。
これは歴史・文化の違いでしょうか?宗教感の違い、風土の違い、いろいろな要因があるのでしょうが、ヨーロッパ人の人間関係に影響を及ぼしているのは、国境があり絶えず隣に自分とは違った考え、文化を持った人が居ることを知っていること。そしてその状況では、まず自分がどう思いどうしたいかを考え、相手が何を思っているか推測し、そして共存していくためにはどうしたらいいかを話し合う必要があったから、人間関係のカタチがはっきりしていない、はっきりさせない、カテゴライズさせない、そこから何が生まれてくるかは自分たちで作ろう、という感じ。恋愛においても、相手との駆け引きから生まれる感情に任せて、予期しない感情も含めて意識を泳がせて、どこへ向かうのかはその時次第。そして何が生まれてくるか当の本人もわからないが、その時その時の自分の感情を尊重していく。日本はずっと閉じた世界であったため、その世界をうまく保っていくための習慣として、初めに答えありきで物事を進めていく、システマティックとも言えるほどの恋愛の形を作って来たのではないでしょうか。
でもそれも昨今のグローバル化で変わりつつありますね。。
なんだか、いろいろ、思いつくまま書いてきましたがこの考察はまだまだ未完成で、しかもかなり私のひとりよがりなものになったと思います。思考が迷路に入り込んでしまっています。でもこのテーマは自分としてはすごく面白いと思うので今後とも進めていきたいと思います。そして自分の経験値も高めつつ(笑)そしてこの話題について一緒に語り合える方大募集です!
でさて、わたしの続きの話が気になっている方の為に。。。秋が深まった今日この頃、タブーを犯して、もう苦しくなってしまった私が彼に聞いてしまいました。そしたら「I like your company」「But not in love yet」だそうです。はい、よく分かりました。でもそんな風にはぐらかさずにちゃんと答えてくれた彼に誠意を感じました。それにしても恋は頭でするものでなく心でするものとわかっていても、いろいろ考えてしまいます。結果的に聞いても聞かなくても、ああ、苦しい。。いつか笑って話せる時が来るといいです。
わかふぇのよしみ、ここでめげたら女がすたります。もうこうなったらどんな状況も前向きに楽んで行こうじゃありませんか♪
アイルランドで女ひとり。今日も元気にいろんなことに体当たりでがんばっていきますよ~!!今後ともよろしく応援お願いいたします。温かく見守って下さいまし。(笑)
では、今日も張り切ってまいりましょう~♪