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2011年10月7日金曜日

☆【INJ Essay】☆「What’s the craic? 天気は悪いが今日も元気!わかふぇよしみのゴールウェイ徒然草」Vol 8~「アーサー・ギネス・デー」☆




「アーサー・ギネス・デー」

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アイルランドの、いや世界中のギネスビールファンの皆さま、この時間がなかったら今あなたがそこでおいしそうに飲んでいるギネスは存在しなかったかもしれませんよ~。そう、この日はギネスビールの創始者、アーサー・ギネスの誕生日です。





















アイルランド」と聞いて何を思い浮かべますか?・・・「ギネスビール」という方も結構多いのではないでしょうか?きめ細かいクリーミーな白い泡の載ったほろ苦くておいしい黒いスタウトビール。アイルランドという国のイメージになり得るほど世界的に知られるようになったギネスビール、今年で創業252年です。現在では世界の150以上の国で飲まれ、「毎日」1000万パイント(およそ570万リットル)が消費されているそうです。今日では最も飲まれているビールのひとつとして数えられるほどに広く知れ渡ったギネスビール。国際ブランドとして発展するだけでなく、アイルランドという国を世界の人々に知ってもらうのにも一役かっている為、ギネスビールはアイルランドという国にとっても重要な位置を占める企業です。



ギネスの海外進出とともにアイリッシュパブが世界のあちこちに開店し、ビールだけでなくアイリッシュパブにまつわる文化も輸出しました。そしてそのアイリッシュパブでギネスビール及びアイルランド文化に触れたたくさんのお客さんを魅了し、アイリッシュファンを作り、次々とアイルランドへ向かわせることになりました。日本でもアイルランドには行ったことがことはなくてもギネス大好き!という人はたくさんいるでしょうし、ギネスビールやアイリッシュパブがきっかけでアイルランドに興味を持ったり、旅行するきっかけになったという人を私もここゴールウェイでたくさん見ています。日本だけでなく、世界中からやってきてますね。今では世界中に愛飲者がおり、アイルランドと世界を繋ぐ架け橋ともなったギネスビール、252年前のダブリンで、ある青年がたったひとりで始めた醸造事業がその始まりでした。





アーサー・ギネスは17259221759分に生を受け、若い頃は大主教プライスのもと執事として働いていましたが、プライスの死後100ポンドの遺産を授かって、以後醸造事業に取り組み始めました。31歳頃から自らビールを作り始め、175934歳の時、ギネス社を立ち上げ、当時使われていなかったダブリンの聖ジェームズ・ゲートの4エーカー(約4,896坪)もあるビール工場を重要な水権利も含めて年45ポンドの賃料で、9000年間という賃貸契約を獲得しました。9000年ってすごいですよね。9000年。。こんな所がアイリッシュっぽいなぁ、と思ってしまいます。懐が深いというか、おおらかというか。。












そしてアーサーはその後の10年間で、褐色のエールビールの醸造の為使っていた工場を、銅色の焙煎ビール、ポータービール(当時ロンドンの運搬人夫=ポーターの間で人気のあった為こう呼ばれたそうですが)の醸造へと移行していき、その過程で、「税金のかかった麦芽の代わりに、麦芽にする前の大麦を使い発芽させずにそのまま焙煎してビールを作る」という凡人では考え付かないような手法でビールを作る試みを始めました。これがアーサーのギネス・スタウト。今までにない個性的なビールを生み出しました。独特の深いコクと香ばしさ、濃厚な色と味わいを持ち、きめ細やかなクリーミーな泡立ち。これが予想外の大成功を納め、瞬く間にアイルランド中で大人気となりました。そして1769年、初めての輸出品となる6.5バレルがイギリスへと渡りました。こだわり抜いて作った本物の味は海を超えたロンドンでもすぐに人気となりました。それからというもの、ギネスビールの躍進は2世紀に渡って現在まで続いています。1803年のアーサーの死後も、ビール作りは一族に引き継がれ、醸造技術の進歩によりビールの製造プロセスに若干の変化はあるものの、1759年以来の伝統的な醸造方法は受け継がれています。たったひとりで始めたビール作り、250年以上たった今日ではアーサーが自ら作っていたのと同じようなおいしいギネスビールを世界中の人が楽しんでいます。



このウェブの原稿を書くために、アーサー・ギネスについて調べてみたのですが、調べれば調べるほど、このアーサー・ギネスという人物は非凡な人だったのだなぁ、と思いました。天才的なインスピレーションとアイディアを持つクリエイタ―であり、研究者であり、ビジネスマンとしては先見の明があり、大胆で、本物志向、努力家で、献身的で、大変なこだわり屋さんだったことが伺えます。また妻のオリビアとの間に21人もの子供がいたらしく、大家族の長としての務めも立派に果たしていたのでしょう。







ギネスビールに関する「いろいろ」は「こだわり」だらけです。


使われる水はウィックロ―の女王の井戸から取って来ていて、使用される大麦はアイルランド産最高級の原料、最高級の麦芽、そして純度の高い水の使用にこだわっています。さらに製法、時間をかけてゆっくり発酵させるテクニックや品質管理の方法、輸送方法。そしておいしくビールを注ぐ手法、更には飲み方。時を経ても人が変わってもギネスビールに関わる全てはまるで「茶の湯」の作法のように製造から消費まで一貫した変わらぬしきたりがあります。最高のビールを飲む為の作法。無駄がなくそのひとつひとつに意味がある。ギネスのウェブサイトには彼が記しのか、従業員のひとりが記したのかわかりませんが、日々のビール作り記録した帳簿が残っています。その几帳面に記された筆跡を見てもそのこだわり様が推測されます。

 



アーサー・ギネスの情熱は、ビール作りを通して、社会の役に立つことにも注がれていました。ギネスビールのウェブサイトには「アーサーはビール作りだけでなく、会社設立当初から社員や地元社会、ダブリン市、そしてギネスを販売する国々に対して会社が何かを還元し続けることを徹底しました」とあります。ギネスビールのグラスには国章であるアイリッシュハープのデザインが施されていますが、アーサー・ギネスのアイルランドへの想いを感じます。時はイギリス支配からの独立運動が高まっていた頃。その当時のアイルランドやイギリスで、このグラスでギネスが飲まれていたかは分かりませんが、世界に誇れるビール会社になることがアイルランド人達のアイデンティティを呼び起こし、アイルランド独立の啓蒙にも一役買ったのではないでしょうか?




わたしもビジネスに関わる者の端くれとして、事業者としての彼の情熱、信念、社会に対する姿勢、それをやり遂げた行動力、継続し続けた忍耐力、ひとかどからない努力の賜物だっただろう、と敬意を表します。そしてその意思を継いで今でもギネスビールがおいしいビールを世界中に提供し続けていることは、またすばらしい事だと思います。アーサー・ギネスのこだわり、本物は時代を超えて残る、ということですね。WA CAFEもこんな会社になれるよう日々精進がんばります♪

 



さて、毎年924日はArthur Guinness Dayと称し、アイルランド中のパブで、そして世界中のアイリッシュパブでギネスビール生みの親,アーサー・ギネスの誕生日を祝って乾杯します。ここゴールウェイでももちろんたくさんの人がパブに繰り出し、アーサーの生まれた1759分には一斉にパイントを掲げ「Cheers!」と乾杯しました。わたしはゴールウェイの目抜き通りになる老舗パブ「キングスヘッド」の前でこの時間を待ち構えていました。通りがまるでパブの中状態。ギネスのパイントを持った人たちで、歩くのも難しいくらいになり、乾杯と持ち上げたグラスからビールがこぼれあちこちでギネスをかぶった人がいました。でもそんなのなんてことない!幸い天気が良かったので大騒ぎとなりました。次の日の新聞には、早い時間から飲み始めて酔っぱらってしまってどうにもならない人たちがたくさん警察のお世話になった、この記念日はもうちょっと祝い方を考えてもいいんじゃないか、という事が書かれていましたが、私的にはCraicいっぱいのこの「Arthur Guinness Day」アイルランドらしくて好きなんですが。。アーサー・ギネスが自分の誕生日を今だにこんな風に世界中で祝ってもらっていることを知ったら何と言うでしょう??

Dear Arthur, Happy BirthDay!!!
そして「おいしいギネスをこの世に送り出してくれてありがとう!」





さて、さてこのアーサー・ギネスデ―のあった週末、ゴールウェイではインターナショナルオイスターフェスティバルも開催されていました。こちらにも参加してみましたが、今の時期のオイスターはまだはしりですが、今年の牡蠣は期待できそうです!!もう既においしいんです♪12月末のベストシーズンにはどんなにおいしくなっていることやら。。そして、この牡蠣、特にゴールウェイで採れるNative Oysterと呼ばれる地元産の平ぺったい牡蠣はとてもギネスに合うのです。ギネスのちょっとほろ苦いアイロン質の味と、Native Oysterにもあるアイロン質の味、そしてギネスのクリーミーな泡を通して感じるビールの苦みと牡蠣のぷるんとした食感、海の香りはもうソウルメイトと呼べるくらいにマッチしていて、牡蠣をひとつ食べ、ギネスをひとくち飲んでは、「まあ、なんてステキな組み合わせ。」とうっとりしながら、またつぎの牡蠣を食べギネスをひとくち飲むという。。。永遠に続けられそうな感じです。ついつい調子に乗って2ダースも戴いてきました。再度ですが、「アーサー、おいしいギネスをありがとう。アーサーに乾杯!」









では、最後にギネス社がこだわりにこだわっている、おいしいギネスの飲み方を紹介しましょう♪
これを見たらアイリッシュパブに今すぐ行ってギネスを飲みたくなっちゃうかも、ですよ(笑)




では、今日も張り切ってまいりましょう~♪






よしみ@わかふぇ 


Photo Courtesy:YOSHIMI HAYAKAWA

(アイルランド共和国現地 10/3ゴールウェイ電)