「2011年の締め」
今年もいよいよ大詰めを迎え、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今年はなんだかいろいろあって大変な年でしたね。。
今年一年を振り返ってみると、やはりあの日のことになります。
3月11日に起こった震災。今まで信じていたものの価値をすべてひっくり返されたような出来事でした。。
ちょうどあの日、日本に一時帰国中で、新宿にいました。
あんな冗談みたいな状況で死んでしまうかもしれない、と思ったのは生まれて初めてのことでした。
そして神さまの気の迷いか悪戯か、所変わればそんな冗談みたいな状況であっという間にたくさんの命が波に消えていきました。
自分の人生がそんな風に終わるとは心の準備もできなかった多くの人たち・・・、そして後に残された人たち・・・、無念です。やりきれないです。
こんなに文明が栄えた現代の世の中でも避けられなかった、たくさんの人たちの死。
そして津波で充分過ぎるほどの大打撃を受けているのに、更に村に降りしきる雪。。自然って・・・神さまって・・・時として容赦ないですね。。
いったい何なんだろうなぁ・・。
とにかく2011年3月11日。自分のなかで今まで信じていたことがいっぺんにひっくりかえされました。
でもあの日新宿にいたのは運命的だったと思います。
呼ばれて行ったんだな、あの日のことを見ておいてよかった、と思います。
都庁や新宿の高層ビル群がぐわんぐわんとしなっているのを見て、恐怖を感じるとともにあっけにも取られました。
屋内にいても外に出ても危険という状態。一瞬にして頭をフル回転させ、この後どうなる、どうする、ことを考えました。
実家の豊田であれば必死に空き地目指して走ってなんとか生きようとしたかもしれませんが、
新宿のあれだけたくさんの人がいる中では逃げる場所もない、自分一人助かっても嬉しくないな、と冷静に思いました。
隣のビルは大理石でできた床が一瞬にして隆起していました。
そして神社が揺れでシャンシャンと鳴っているも初めての経験で驚きました。
とりあえず、新宿小田急線構内まで行き、電車が動き出すのを待っていたのですが、小田急百貨店内の店員さんは客がひとりもいないのに直立不動で接客体制。
おばちゃん店員さんが「だいじょうよ~」と声をかけてくれてことで、「そっか、だいじょうぶ」とすごくほっとしたことを覚えています。
地下の食品売り場はさぞかし食品を確保する人たちで混雑しているだろうな、と見に行ったけど、みんな普通に買い物していました。
ひとりずつ増えていく電車待ちの人たちは駅構内で通行の邪魔にならないように暗黙の了解のように等間隔に階段に座り始め、
トイレや公衆電話の行列も時間の経過とともにどんどん伸びましたが誰もが列を作って静かに順番を待っていました。
そしてみんなお年寄りや子供、女性を優先してお互いに助け合っていました。
今日は全線運休、と聞き、電車で帰るのは諦めて、外にでてみると会社帰りのスーツを着た人達の群衆。
人のうねりがあっちでもこっちでも。真っ黒な会社帰りの群衆。
その歩く姿がまるで縁日に向かっている人の波のようでした。でもスーツ。そして誰もがとにかく無言でそれぞれの目的地に向かって歩いてる。。
妹自宅まで2時間かけて歩きましたがその途中いくつかの会社がトイレやオフィスを休憩所として一般に開放しているのを見ました。
その日は何万という人達が何時間も歩いて家に帰ったそうですが、電車が動くようになった次の日にはまた普通に起きて会社に出勤している・・・。
文句を言ってる人を見ませんでした、みんな自分にできる限りの最大限の事をしようと努めているようでした。
あの日、日本人ってすごい!と感動しました。そして日本人でよかったなぁ、とも思いました。
すべてがすべて、そうではなかったかもしれませんが、少なくともあの日私が目にした事は
あの緊急事態で誰ひとりとして取り乱す人がおらず、暴動も起きず、弱きものを助けようとし、お互いに譲り合おうとしていました。
人間の本性はとっさの時に出がちですが、日本人のひとを思いやる気持ちや勤勉実直な性格は一朝一夕にできたものではなく、代々に渡って培われてきた美しい日本人の気質だと思います。
自信を持っていい、素晴らしい気質だと思います。
「SAMURAI 魂」が現代にも受け継がれているのかもしれません。わたしにとっては日本人に生まれたことを誇りに思った日になりました。
自画自賛を重ねますが、あんなことがあったのに暴動が起きない国って珍しいと思います。
震災時の様子はアイルランドでもかなり大々的に報道されていて、わたしの体験をゴールウェイに帰ってから友達に報告すると、既に新聞やTVでは見聞きしていたが本当にそうだったんだね、と感心されました。
アイルランドであんなことが起こったらどうなるんでしょう。。とふと思ったりしました。(touch wood!)
「PADDY 魂」でとりあえず飲んじゃおう、ということになるんでしょうか・・(すみません、冗談です。念のため)
そんな経験をして震災後予定通りゴールウェイに戻って来た時、WA CAFÉにたくさんの人が心配して訪れてくれたことを聞きました。
その後すぐにあった国民的お祭りのセントパトリックスデ―で募金活動をしたところ、
本当にたくさんの人が活動場所に立ち寄ってくれ、哀悼の言葉をくれたり、見もせずにポケットの中身を全部募金箱に入れてくれたり、千羽鶴にメッセージを書いてくれたりました。
人間って言葉や文化は違うけど、核にあるものは一緒だなぁ、と思えた瞬間でした。
またその後にあったGalway for Japan Day イベントでもたくさんの地元企業や団体の協力を得て大成功に導くことができました。
それもこれもゴールウェイ人の温かさがあったからこそわたしはここに根付きビジネスを始めることができ、ゴールウェイ人として受け入れられました。ある人から「You are a part of Galway!」と言われましたが、そんなゴールウェイ人になった私はこの経験を通してゴールウェイのことを誇りに思いました。
今年の3月11日に日本で体験して感じたこととその後のゴールウェイで経験したこと。
これは自分の中で大きな分岐点となった気がします。2011年はまちがいなく私の人生の重要な位置を占める年となりました。
永遠に続いていくような気がしていた自分の人生、不本意ながら、いつどこで終わるかもしれない。
ならば悔いのないように一瞬一瞬を大事に生きたい、震災を通して強く思いました。
今抱えている、自分の中ではすごくすごく大きくて辛いと感じている問題も、死ぬことよりは全然まし、なのでしょうね。
とにかく、前に向かって歩いて、目の前に現れてくる扉を開けていくしかない、と今、この一年を振り返って思います。
実を言うと今回の原稿は書けるのかしら・・・?と自信をなくしていました。
というのも、最近アイルランドのいろいろな事に幻滅していて。。
簡単に言うと、景気が良かった頃は「おおらか」と思えたアイリッシュの長所が、景気が悪くなると「いい加減」という風に見えてくる、ということでしょうか。。。
みんながぎすぎすし始めて、一番割を食うのは、外国人なのでした。。
はたらけど はたらけどなほ わがくらし 楽にならざり ぢっと手を見る
(笑
みんないろんな事情を抱えていますね。
もう何も書けないし、書いてもネガティブなことしか出て来ないよ~と思っていたのですが。。。
でも今年全体を振り返ってみて震災の事も思い出し、その後何があったか思い出している間にアイルランドの良さをまた思い出しました。
人の縁とは不思議なもので、あの時、震災の時に一緒にいたイタリアンペストリーシェフのMs.照井が今ゴールウェイに来ていて、わかふぇ前進の為のコンサルティングをしてくれています。
また昔わかふぇオープンの為に尽力してくれたケイコさんも絶好のタイミングで日本から的確なメッセージをくれました。
不思議です。。
人に励まされ、人を励まし、また明日を生きていくのですね。。
生きているだけでもラッキーと思って、思考を前向きに持ってまたがんばります!
そして、生き恥をさらしてでも、信念を持ち、自分自身には恥ずかしくない美しい生き方をしたいな、と思います。
日本人魂サムライ魂でしょうか。
2012年は皆さまにとっていい年になりますよう、こころからお祈り申し上げます。
そして日本も早く安心して皆が暮らせる美しい国に再生しますように。。
わたしも益々のわかふぇ商売繁盛、日本&アイルランドの交流促進の為の活動に向けて前進していきます。
みなさん 良いお年を!
来年もよろしくお願いいたします!
「わかふぇよしみの2011年10大ニュース!!」
1、3.11のこと
2、Galway For Japan Day
3、寿司職人デビュー
4、INJの原稿を書き始める
5、Blondyにケータリング
6、Galway Tribeとして写真集に収まる
7、アイルランドの不景気およびヨーロッパの金融危機
8、税金で?????ユーロも取られる
9、初アイルランド人スタッフ同時に2人雇用
10、両親が初来ゴールウェイ
忘年会はしましたか?私はこれからです。今年の垢は今年のうちに流しましょう♪
そして、2012年、新たな気持ちで元気にまいりましょう♪
よしみ@わかふぇ
Photo Courtesy:YOSHIMI HAYAKAWA
(アイルランド共和国現地 12/29ゴールウェイ電)
✰The Irish Today よりご挨拶✰
皆様今年1年間INJ公式ブログ「The Irish Today」を閲覧いただきありがとうございました。
コミュニティーの活性化を、と気楽に始めたブログですが
日本のみならずアイルランド・アメリカをはじめ世界中の方々に見ていただくようになり
これはまったく予想していませんでした。
今年1年は早川さんの言うとおり未曾有の災害に苦闘する1年が日本ではなかったかと
思います。いい話題が少なく、世相も混迷を極めているでしょう。
所変わってアイルランドも経済破綻に始まるEU危機で
またこちらも辛い1年間だったと思います。
「絆」という人と人とのつながりがクローズアップされる日本ですが、
ご存知でしょうが、アイルランドはまず間違いなく昔から
絆を尊重する国家で、それが当たり前であり、表立ってそれを吹聴するようなことは
ない国です。
結局、世界どこでも行きつくとこは「人と人との繋がり」なんだな、と再認識した次第
です。
さあ、来年は今年開催できなかった聖パトリックスデーパレードが3月に開催されます。
各情報もぬかりなくお伝えしたく準備をすすめております。
また、東北の人々を励ますような趣向もできないかと思案してる次第
気持ちを新たにする次第です。
それでは、今年起きた出来事をざっくばらんにピックアップして
今年最後の配信とさせていただきます。
そしてそして遠くアイルランド、ゴールウェイの早川芳美さん。
今年1年素敵な原稿を有難うございます。
来年はアイルランドで一緒に「ぶちまけましょう!」
読者の皆様、ありがとうございました。
Happy Holidays!
IRELAND Past and Future
聖パトリックスデーパレードは震災により中止・・・
国旗だけが寂しく表参道にたなびく・・・・
震災前に唯一開催された伊勢のパレード・・・・
INJでもチャリティー基金を設立・・・・
さらにはアイルランドもふくめ世界から支援の輪が広がりました・・・・
リバーダンスを鑑賞される女王・・・「大変素敵な思い出になりました」・・・と礼状も・・・
内紛はあれどもはや英愛が敵対関係という発想は「時代遅れ」というのが世論の大勢でしょう。
オバマ米国大統領アイルランド訪問・・・・
このシーンが世界の人々をウケさせたのはご愛嬌・・・・
祖先の故郷で「スロンチャ!」・・・・・
アイルランドラグビー、W杯で健闘!・・・(もうちょっとイケたかな・・・)
サーカーはユーロカップ超ひさしぶりの出場決定!「Go to Poland!!!」
さよならウエストライフ~2012クロークパークでフェアウエルコンサート
10万人分のチケットは「瞬殺完売」・・・
・・・・2012も天使の歌声で癒されて下さい・・・・
新コンセプト「ビリーブ」始動・・・・
アイルランドのアナログ放送は2012年10月24日をもって全て終了します.
愛国も地デジの波には逆らえず・・・・・
ダブリンの黄昏をこんな形で演出・・・・・
2011The Irish Todayの動画大賞はこの作品・・・・・
アイルランド行きたくなります・・・・