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2014年12月26日金曜日

「What’s the craic? 天気は悪いが今日も元気!わかふぇよしみのゴールウェイ徒然草」Vol 39~「2014年の締め~ピンチはチャンス」






「2014年の締め〜ピンチはチャンス」



早いもので、もう2014年も終わりですね。

では、年末恒例わかふぇよしみの1年のプレイバック、参りましょう。









1 正月早々、アイルランドでは記録的な強風、高潮でゴールウェイを含め各地で洪水被害。
港の脇にあるWA CAFÉも床下浸水。
目覚めたら店の前が川になっていた。あと少しで店に水が入って来る~、という所でカミカゼが吹き助かる。
詳しくはvol 32




























4回ゴールウェイ大学アニメイベント 「アクマコン2014」開催
去年に引き続き、元ジブリで怪談作家の木原浩勝氏、名探偵コナンのエグゼクティブプロデューサー諏訪道彦氏、そしてゲゲゲの鬼太郎や犬夜叉も手掛けた日本を代表する作曲家の和田薫さんを迎えて大盛況。
WA CAFÉは例年通り「WA CAFÉ メイドカフェ」を出店。
今年はお茶の会も催し、よしみ自らお手前を披露。
ゴールウェイ大学の学生と共に一年かけて準備するも毎回準備不足で毎年同じことで学生たちを怒らねばならぬ。しかし、終わった後のみんなの嬉しそうな顔を見るとわたしも嬉しい。
最近アクマコンのメンバーが自分の子どものように思えてきた。(笑)























2 第6回 短歌の会 歌人香川ヒサ&ゴールウェイ詩人のコラボ朗読会開催。
こちらもゴールウェイの日本関係イベントとしてすっかり定着。
ゴールウェイだけでなく2年前からダブリンの日本大使館でも開催。アイルランド俳句協会、ダブリン大学とも共催。
地道だが着実に認知を高めており今後の展開に期待。
香川ヒサさんの寄稿エッセイvol 38

この時期から地元ビジネス支援の為の一年間のセミナーに参加。月一回ほど。
今までとは違った分野のビジネスマン達と交流し、勉強会を通して見聞を広める機会に恵まれた。
ビジネスシチュエーションに必要なエレベーターピッチやプレゼンテーションもロールプレイングを通して学習。
実は似たようなセミナーにアイルランドに来たばかりの2001年に受講していた。あの頃は英語も分からず
ビジネスの仕組みも分からず、アイルランド人のこともまったく分からず、チンプンカンプンだったけれども、また同じ所に戻って来てこの13年間のゴールウェイでの軌跡を実感する。


















3 日曜の朝、店に来てみたら、店が大洪水だった。
夜中にキッチンの水道管が破裂。どうしてこんなことばっかり?
店内はまるでプール。冷蔵庫の下にでも転がっていただろう干からびたマッシュルームがぷかぷか浮かんでいる。こんな事態だが結構笑えた。

吹雪だの洪水だの、今年の冬は長かった・・・。Vol33































4 各地でのイベントに参加。
そのうちのひとつのイベント終了後、今までにないほどのクレームのメールを受ける。
販売品の品質について。機器等の制約のある屋外のイベントでしかも超忙しく、確かに仕事のクオリティが落ちていた。
その日のうちに対応し、何件かのメールのやりとりの後、なんとか今後のWA CAFÉの努力に期待してもらえるよう決着を得た。
その日のうちにスタッフ一同でミーティング。反省と改善を誓う。
アイルランド人は寛容な人が多いので、クレームをいただくことはあまりない。
商売というものはそのオーナーのキャラクターというものが如実に現れるものだ。まず私の油断と奢りが原因と反省する。
レストランの基本は食べ物とサービス。
初心に戻ってこのわかふぇビジネスというものを考えてみるいい機会になった。


5 各地で様々な会議が開催され参加する。
アイルランド政府がこの先、この不景気をどう乗り切って行こうとしているか勉強になった。
特に興味を持って話を聞いたのが、日本向け輸出業者が集まるセミナー。
日本のマーケットに入っていくためには「NEMAWASHI 根回し」(ちなみに発音は「ワ」にアクセント)「TAISAKU 対策」が必要だと説いていた。
自身はこのビジネスに携わるようになってからずっとアイルランドのマーケットに受け入れられるためにはどうしたらいいか、と考えて来た。
同じようにアイルランド人も日本についてはわかんないことがたくさんあるのね、と興味深かった。
これについては機会がまたあったら書いてみたい。

























6 寿司マスター来る
ご縁あって大坂で寿司を握って47年のベテラン寿司職人が寿司の技術を教えてくれるために渡愛する。
朝早く起きて散歩したあと、朝食はごはん、味噌汁、漬物。朝10時から閉店の21時までびっちり働き、その後はパブでその日の反省会。
なんとパワフルなお方か。寿司の技術や寿司屋経営はもちろん、その生活習慣と働きぶりからも多いに学ぶところあり。
さすが大坂のど真ん中で不況の波にも負けず寿司屋さんを続けてきた人だ。
仕事一辺倒でもなく、日曜はサンデージャズに繰り出し若い頃馴らしたというステップを踏んだり、午後は嬉々としてゴルフへ出掛けて行かれた。
わたしのお師匠さまとなった。

店の外看板、ウェブサイトを一新する。
日本人スタッフによる会心の作。















7 メインシェフ喧嘩して出ていく。
寿司マスターが来てからいろいろプレッシャーもあったのだろう。2年勤めてくれていたメインシェフが
ランチサービスの真っただ中、突然キレて出て行ってしまう。
レストラン業界の中ではそんなに珍しい事ではないだろう。アイルランドも日本も料理人は血気盛んな人が多いような気がする。
そうでなければ、食べ物という生もの、火、人を扱うというプレッシャーの多い職場では持たないのだろうが。。
気持ちは分かるが、一番忙しい時をほっぱり出して出て行ったことは致命傷で、次の日なにくわぬ顔で出勤してきたが暇を出す。
このことにより、将来のわかふぇビジネスの予定ががらりと変わってしまった。
そして自分がまたその多くを負担しなければならなくなった。
「はい、また振り出しに戻る~。」人生はすごろくゲームのよう。

しかしわかふぇの将来のためにも良い判断だった、とずっとずっと後になってから思えるようになった。
求人を出すと、タイミング良く寿司シェフ希望の若い衆来る。日本にも興味があるとか。














8 アイルランドでは3カ月もいい天気が続き、記録的な晴天続きの夏となる。
商売も順調。やっとゴールウェイにも寿司ブーム起きつつある。

8月の最終週、イミグレーションからのガサ入れあり。
1-2回来てたいていスムーズに終わるのだが、今回はアジア人従業員2人が自分を証明するものを全く持っていなかった。
後日レターが届く。「検査の結果、従業員のひとりが不法滞在と判明しました。雇用主としても法に触れているので、後日更なる取り調べをします。
いついつの何時から。その際、過去2年間分の全ての雇用の記録(1ページ以上にのぼるリストの数々)を提出してください。」とのお達し。




9 今年最大の苦難の月。この時期がおそらく私の歴史に残る最大で最後の(と思いたい)苦難の時期。
例の不法滞在と疑われたアシスタントシェフは入国管理がコンピューター上で名前を見つけきれなかっただけで、合法であることが判明したが、取り調べは続行。
そのアシスタントシェフはビザの更新もあり前から予定していた自国へのホリデーへ2週間旅立つ。その間わたしがすべての調理を担当。

2週間くらいならなんとかできると思っていたのが、ホリデーから帰ってきたアシスタントシェフは松葉つえをついていた。
あと4週間はドクターストップとか。。。
マジで??あと4週間、わたし??

覚悟を決める。そして養成中の寿司シェフの養成プランを早めることにする。
毎朝、毎晩仕事の始まる前と終わった後、数時間取り調べの為のペーパーワークも同時進行。まだまだ夏の繁忙期で、一分一秒が惜しいほどきりきり舞いをする。
養成中寿司シェフ、腎臓の病気になる。病欠2日後、連絡取れなくなる。こんなこと前にもあったなぁ~、ティピカルと思いながらも、原因追及している時間ももったいないので前へ進む。
今まで長く働いていたスタッフがこの夏から大学に行っていたり、休暇でいなかったりしてこの夏最後の忙しい週末、オイスターフェスティバルの週末はひとりであたふた。
このままフェードアウトかと思われた寿司シェフやっと話しに来た。実はウツを患っている、と告白される。できる範囲で働いてもらう事にする。
(後日談として。ウツは彼女と別れたことが原因だったようだが、よりを戻した今ではすっかり元気である。笑)

この4週間ずっと支えてくれていたウェートレスが今度は病院行きとなる。原因は胆嚢。
今度はフロアとキッチンを見なくてはいけなくなる。

あまりにもハプニング続きな毎日。人に話すと結構面白がってくれるので、しまいにはこれを記録しておかない手はない、と思いツイッタ―でつぶやき始めた。
一日ハードに働いた後、その日の思いをつぶやくとなんだかすっきりするのだ。
「ピンチはチャンス!」と自分に言い聞かせる毎日。ちなみに英語では「Difficult times will bring opportunity」というらしい。




10 取り調べ。滞りなく終了。
その次の日、なんと法務省の帰化を扱うセクションや労働省からも連絡あり。
2年前に申請していた、アイルランド帰化の件がまだホールド状態だから、ということ。
詳しくはVol26

「どういうつもりなのか理由を述べなさい。」ということだった。
こんなところまで調べられているのか!と、どきどきしながらも今の自分の状況と考えを正直に伝える。
簡単に言えば、「日本人として生きていきたい、ただ今の制約のあるビザではいつここアイルランドにいられなくなるかわからない。ビザのことはずっとわたしの不安材料であり続けている。
なんとかもっと安心してアイルランドにいられるようになりたい。将来は模索中。もうちょっと待って欲しい。」
と話したら、「では待ちましょう。しかし定期連絡はいれなさい。」とのことだった。
融通が利かなそうなお堅いイメージの政府機関でも真摯に話したら伝わるものなのだ、と感激する。
そして次の週には労働省からの別のスタッフが来て、店の従業員とスタッフと面接をして行った。スタッフ達もいろいろな職場で働いたがこんなことは初めて、と驚いていた。
外国人であるということは、こういうことなのだ。

しかし、すべてクリア。
終わった、終わった。

寿司シェフも復帰。骨折シェフも徐々に復帰。胆嚢のウェートレスも復帰。
助っ人も慣れて来て客席も仕込みの手伝いもできるようになる。

結局50日間休みなしでフルタイムで働いた。毎日起こるハプニングもピンチはチャンスと乗り越えた。
やり遂げた!という充実感を味わう。でもこんなことができたのも、健康な身体をもらったおかげ。ありがたい。
この50日で悟りをひらいた。(愚)
「自分の舞台を自分で作って、その舞台を自分で張ろう!」ということ。
また今後店が進んで行くべき方向性も見えてきた。



11 繁忙期も終わって文化の秋に入る。
徐々に来年以降の文化イベントの話も始める。
11月なのに商売は順調。寿司が定着しつつあると感じる。








12 楽しくなってくる。
日本では毎日充実した日々。毎日人に会って貴重な時間を過ごす。アイルランド関係者に会う毎日。
3本の柱 アニメ、八雲、寿司でもいい話ができた。
わたしのいない間も9月にいろいろあったがメンバーがちゃんと店を守っていてくれた。みんなの成長に感涙。。
養成中の寿司シェフもほぼひとりでなんでもできるようになっている。
すばらしい・・・・。




そんなこんなで、今年一年もハチャメチャな一年でしたね。(笑)
2014年のわたしのなかでの流行語大賞は間違いなく「ピンチはチャンス」です。
今から思えば、あのピンチがあったからこそ成長もあった。分かった事もあった。
全て過ぎてしまえば、なかったよりはあった方が良かったと思えることばかりです。
来年はどんな年になるのでしょうか?またまたピンチはやって来るのでしょうか?
でも今年のお陰でどんなピンチが来てもきっと乗り越えていくんだろうなぁ、という変な自信はつきました。(笑)

さて、今年もここゴールウェイで、貴重な出逢いがありたくさんの楽しい思い出ができました。
WA CAFÉにいると老若男女、国籍、ステイタス問わずいろいろな人がやってきていろいろなお話しをしてくれるので、楽しくて仕方ありません。
また日本人に限って言えば日本では会えないような人達に会えるのはゴールウェイのマジックと思っています。
今年もWA CAFÉを通してたくさんのご縁がありゴールウェイにまた戻ってくるだろうな、と思える「ゴールウェイの楽しい仲間たち」(笑)も増えました。
新旧の仲間ひとりひとりにお礼を言いたいところですが、泣く泣く割愛しこの場を持って御礼申し上げます。
「今年もどうもありがとうございました。」
そしてこのエッセイを読んでいただいている読者の皆さま、この場を提供していただいているアイルランドきってのプランナー!の田面さんにもこの場を借りてお礼申し上げます。

では、皆さまよいお年をお迎えくださいね。
ゴールウェイより皆さまのご健康とご多幸をお祈りしております。
今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。





Photo Courtesy:YOSHIMI HAYAKAWA

(アイルランド共和国現地 12/25ゴールウェイ電)