「仕事・Monozukuriについて」
今年のゴールウェイは冬・春・夏と比較的穏やかな日が続き、雨が少ない年だと思います。
あまりにも雨が降らないので天気の悪いゴールウェイの風景をついつい忘れてしまいそうな今日この頃です。
今回はゴールウェイがヨットレースの最終地点となり、大会のゴールをホストするということもあり、国内外から3年前の2倍以上の数、なんと七十万人もの観光客がゴールウェイを訪れると観光庁は予測しています。
ゴールウェイの人口はカウンティー(日本で言う郡のようなもの)を含めてもたったの七万人ですから、Volvo期間中はゴールウェイにとってはそれこそ史上最大の商機です。
ヨットがゴールインするゴールウェイドックスの脇に位置するWA CAFÉも今回ばかりは注目のスポットのど真ん中!です。
この不景気の真っただ中にこんなチャンスをくれて`Thanks God!`ありがたいことです。
あとはこのお天気がもう2週間続くことを祈るのみです。`Touch Wood!`
さて、先々回からずっと労働について考えてきましたが、Volvo Ocean Raceを迎えるにあたってまだまだ仕事モードなよしみ、最近仕事の話になると熱く語ってしまう、特にアルコールが入ると更に熱を帯びる、というおっさんモード(笑)に入っているのですが、この間ゴールウェイにいる数少ない駐在員の時任さんと仲間内で話している時にとても面白い話を聞いたので、是非みなさんにも知っていただきたく、時任さんにその話を原稿にしてもらいました。
「日本のものづくりとGalwayで働く人たちについて」
~時任寿徳~
日本の製造業、ものづくりは世界に通用する技術であるということは、日本で生活していると一度は耳にしたことがあるような有名な話と思います。
2012年6月時点で、Googleで「日本 ものづくり」というキーワードで検索をしてみると、約9,270,000件がヒットしました。そして、今度は「Japan Monozukuri」というキーワードで検索してみると、なんと約5,700,000件がヒットしました。「Japan Monozukuri」を語る英語の記事が多く掲載されており、日本のものづくりの技術が世界に通用する言葉になっていることが実感できる一例だと思います。その「日本のものづくり」の技術は、アイルランドでも現実に目にすることができます。
私はアメリカを本社とする医療機器を製造している会社で勤務しており、その工場の一つがアイルランドのGalwayにあります。日本からアイルランドのGalwayの工場に異動して勤務しております。Galwayの工場には私以外の日本人はいません。
しかし、Galwayの工場で現場の状況を目にした時、Galwayで働く人たちが「日本のものづくり」を取り入れた多くの日本語を使っていることに驚きました。日本のものづくりのよいところが取り入れられていることを実感しております。
例えば「改善」~より品質がいいものにしていこうと毎日取り組むことが大事ということで、ものづくりの分野だけでなく、全ての分野で日本人にとっては馴染みのある言葉だと思います。気付いたことはよくしていこうという姿勢は、日本人が得意とする活動の一つだと思います。その改善を、Galwayで働く方たちはKaizenと普通に使って仕事をしています。
もう一つの例として、Galwayで働く人たちは普通にKanbanという言葉を使って仕事をしています。辞書で看板の英訳を調べてみると、advertising
displayという言葉が出てきます。しかし、Galwayの工場で働いている人たちは、Kanbanに相当する英語がadvertising displayであると言われてもしっくりきません。KanbanはそのままKanbanという言葉で浸透しております。インターネットで「カンバン方式」という言葉を調べてみると、世界中でものづくりにかかわる人たちが用いている言葉であることがわかるような記事が多くヒットしてきます。Kanban(カンバン方式)とは、無駄のない生産を実現するためにトヨタが作り出したシステムのことでこれも日本のものづくりが世界に通用している例であると思います。
ものづくりにかかわる人たちにとっての専門用語として、日本語であるKaizenやKanbanという言葉がそのまま取り入れられています。
さて、このKaizenやKanbanが取り入れられていることは、日本人と同じことをすれば海外で通じるのかというとそういう訳にはいかないと思います。
では、日本と欧米では何が違うのか、私がGalwayの工場で勤務して感じたことを紹介させて頂きます。
一点目は「仕事での表現の仕方の違い」です。日本はどちらかというと現場の判断でよくしていくことを得意とする傾向があると思います。上司から言われなくても現場の判断でよいものにしていくという活動が求められ、その活動の結果をわざわざ上司に報告しなくてもいい結果を出していれば問題ないというような感覚です。また、アピールしすぎるよりも控え目にしていた方が謙虚な印象を与え、むしろその方が評価されることがあるかもしれません。言わなくても通じあう、つまり以心伝心という考え方が成り立つと思います。これは、ものづくりに限らず日常生活のあらゆるところでも感じることがありますよね。
一方、欧米の国々ではその逆の傾向があると思います。上司からの指示は必須でその指示に忠実に従う形で結果を出し、それを自分はこのようなことをしてすばらしい結果を出したと報告し、アピールします。上司はその報告を受け、その結果と対応を称賛するという形でフィードバックをします。それが心地いい環境であることが多いです。日本でいう謙虚な姿勢で黙っているのではなく、自分でやったことを表現して形に残してそれをアピールすることが必要となります。
二点目は「技術の伝え方の違い」です。職人気質というような言葉で表現されることがあると思いますが「教えてもらおうとするな!見て技術を盗め!」というようなことは、日本人にとってはある程度理解できる考え方だと思います。その技術を見て学んだものが受け継がれることによって、完成度が高い製品、まさに日本の技術でないとできないような製品を作り出すことに成功しています。手取り足取り教えられるのではなく、自ら努力して学んだ技術なので決して忘れることはなく、高い習熟度で技術が正確にかつ確実に伝わっていく利点があると思います。しかし、誰もができるものではなく技術をもった人のみができる状態だと思います。
一方、欧米では高い技術を安定して出し続けるにはシステム化、標準化が必要であるという考え方です。誰がやっても一定レベルの製品が作り出せるように標準化することを得意としています。欧米ではシステム化、標準化されたことを着実に実行することに注力しますので、「教えてもらおうとするな!見て技術を盗め!」というような考え方は浸透しにくいと思います。ただし、システム化、標準化されれば一定レベルの製品が安定して作り出すことができます。このシステム化又は標準化する能力は日本よりも欧米の方が得意にしているような気がします。
日本と欧米にそれぞれにいいところがあるので、両者のいいところを上手く取り入れている企業がグローバルで成功しているのだと思います。グローバルで成功している日本の自動車メーカーは、まさに両者のいいところを上手く取り入れて成長していると思います。
今回、よしみさんとGalwayで働く人たちも日本語を使っているというような話題でkaizenやKanbanという話をしたところ、日本のものづくりとGalwayで働いている人たちの考え方について興味をもって頂き、原稿を書いてみないかと声をかけて頂きました。自分自身が感じたことなので、みなさんが共感できる内容かどうかわからないですが、一人の人間が感じたこととして読んで頂ければ幸いです。
この話を聞いた時すごく面白いと感じました。日本では当たり前だと思っていたことが外国では全然違うのだ!ということを
改めて思い知りました。
時任さんの教えてくれた「Kaizen」とは日本人なら小学生の時からやっていること=「環境をよりよくしていくこと」ですよね。
みんなが一緒に働く上で便利になることやもっと良くなることを自然に考え実行するという・・・。
そういや、こっちでは間違った時間を指している時計がいろんなところにあるけど、誰も気にしないのはそういうことか、と妙に納得してしまいました。
後、他にも「ゴーエス」についても話を聞きました。興味のある方はこちらでチェックしてみてください。
日本発で「改善」とともに世界で通じている仕事管理の例の一つだそうです。
「5S活動」=(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の頭文字のSを取ったもの。
この5Sの考え方はGalway工場だけでなく世界の工場で取り入れられているそうです。
日本語が直接使われていないので、日本発だということを知らないまま理解している外国人もいるみたいです。
「ゴーエス」小学生の時に行った地元のトヨタ自動車の工場見学でこれ聞いたよな、と思い出しました。
時任さん興味深いお話をありがとうございました。
最近知り合ったばかりなのに、もうゴールウェイを離任するとのことで残念です。
もっと「仕事」や「働く」ことについてお話ししたかったのですが、ゴールウェイでの経験を今度は日本で生かしてがんばってください。
国民性もあり、時任さんの言うように仕事の仕方については国によって長所短所があると思います。
アイルランド人のいい所は、小さなことにこだわらず、物事を大きく見られるところと、融通が効き、いざという時に機敏に動ける所だと思います。臨機応変力にかけては右に出るものなし、でしょう。
実際Volvo Ocean Raceを前にしてその力量に圧倒されっぱなしです。
あと1週間(というか5日)でイベントが始まりますが、今までなにもしていなかったのに、
今週に入ってから街中で工事が始まり、ものすごい勢いで街が変わって行っています。
あれ?これ昨日までこんな花壇なかったよね?とか、あれ?さっきまでこんな標識なかったよね?とか。
刻々と変わっていく街の風景。アイルランド人の火事場の馬鹿力にびっくりです。
3年前のVolvoレースの時も、初めての経験で私は早くから心配していたですが全く何も始まる気配もなく、すっかり油断していたら最後の3日であっという間に変わってしまい、なんとか国際大会を招致するようなイベントに帳尻を合わせてしまいました。
そして、実際2009年のゴールウェイでの大会は天候に大変恵まれたうえ、ゴールウェイの人たちの温かい出迎えに感銘を受けたヨットの乗組員たちからのゴールウェイ大絶賛が功を奏し
今回2012年大会のゴール地点の招致に繋がりました。
アイルランドは時々神がかった不思議な運の強さを発揮することがあります。
前回は期間中全く雨が降らなかったのに、最終日港を埋め尽くす人たちに見送られて「Galway Girl」の歌をバックに
アイルランドのヨットが出港したとたん雨がザ~ッと降ってきました。
3年前にすっかり他のビジネスに遅れを取ってしまった経験があるのでもう驚きません。
わたしも学びましたので、今年はそれなりに着々と進めております。
あと、5日!!
港には30日前からカウントダウンの大きな日めくりが飾られて毎日更新されていたのに、
なぜかカウントダウン「あと9日」から止まってしまいました・・・。(それもご愛敬。当日までにはまた逆転サヨナラホームランです)
WA CAFÉは24時間営業体制でがんばります!!
今一生懸命シフトを練っています。
なんとか9日間、耐久レースを乗り越えられますように・・・。
元気でしたら、大会の様子をショートメッセージと写真でお知らせしますね。
また、NHKのBSでも国際ヨットレースの番組を放送しているらしいので(INJ田面さん情報)そちらでもゴールウェイの様子が見られるかもしれません。
では、いよいよ大詰め!今日も元気にがんばりましょう~♪
いよいよアイルランドはトップシーズン、世界からツーリストが集うアイルランド。
アメリカ合衆国から「アイルランド人気都市ナンバーワン」に指名されたゴールウェイで
今日もよしみさんは日本食レストランを営んでいます。
あの町に70万人・・・・・ちょっと想像がつきません。
しかもお店のロケーションはドック横の「最高立地」・・・・
Wa Cafeがすさまじいことになるのは目に見えています。
皆様もぜひこの夏休み、ゴールウェイに行かれましたらWaCafeにお立ち寄り下さい。
「ブログ見た」と言うと何かサービス・・・してくれるかもしれません。
よしみ@わかふぇ
Photo Courtesy:YOSHIMI HAYAKAWA
(アイルランド共和国現地 6/25ゴールウェイ電)