「労働に対する価値観の違い」
最近ずっとずっとずっと煮詰まっていました。
あまりにも濃くなりすぎて、これは薄めなくてはそろそろやばいと思ったので、
ええい!とインターネットでRyanairのチケットを取ってマドリードに行ってきました。
Ryanairは国際旅行客数、世界最大のアイルランド発祥の格安で航空券を販売する航空会社
で、たまにダブリンーロンドンtaxのみというような驚きの値段のチケットが販売されてい
ます。
Ryanairのおかげで、ヨーロッパ国内はまるで日本国内旅行のように気軽に、安く旅行でき
るようになりました。ありがたいことです。
さて、マドリードには大学時代の友人でわたしがフィリピンに初めての海外旅行したときに出会っ
た、みっちゃんが住んでいるのです。
数年に一回くらいしか会わないし、メールのやりとりも普段はまったくしないのですが、
いざという時になにか察知したかのように連絡が来たり、したりする仲。
久しぶりにあってもまるでそれまで頻繁に会っていたかのように話が始まります。
わたしの原点を知っている、本当に気の置けない友人です。
アイルランドで煮詰まっていたことはいろいろあるのですが、今回スペインに行って、みっちゃんやその旦那さんのダビといろいろ話をするうち、
そのいろいろのうちのひとつにある答えが見つかったような気がしました。
ああ~そういうことだったんだ~~。と
「労働は悪!?」
スペイン人のダビはテレビ番組の制作や広告代理店の仕事を請け負う会社を営んでいるのです
がみっちゃん曰く、仕事が大好きで、いつもいつも働いていて、全然スペイン人っぽくないよ~
(苦笑)、と。
ダビもわたしもお互い自営業をやっていることもあり、国は違うといえども、同じような苦労もして
いるので夕飯の食卓を囲んで話が盛り上がりました。
ひとしきり「この不景気では商売も大変だ~」(スペインはアイルランドを上回る不景気のようで
す)とひとしきりぼやいた後、
ふとダビが言った言葉「キリスト教、特にカトリックの国では労働は『悪』なんだよね」
そして「だから商売している人は『悪魔』、」
え?え?何それ~?って感じです。
なんでも簡単に言ってしまえばキリスト教の教えでは、人は労働しないのがいい、
ということらしいです。
聖書の教えでは・・・。
ご存知のようにアダムとイブは楽園であるエデンの園に住んでいたがある日、罪を犯し
楽園から追い出され、労働を課せられます。
古代、労働は「悪いことをしたからしなくちゃいけないもの」だったのです。
この世の中すべてのものは神様から与えられているものというキリスト教の考えからすると、
人がそんなにあくせく働くことをあまり良いこととは思っていないようです。
ということで利益の為に働く商売人は「悪魔」ということになるのだそうです。。。
それを聞いて「なるほど~!」と目から鱗がたくさん落ちました。
そして今まで「どうして??」とゴールウェイで疑問に思っていた謎が次々と不思議なく
らい気持ちよく解けたのです。
これが本当に真理なのかについてはまだ疑問ではありますが、でもお話させていただきますね。
アイルランドでは失業者が大変手厚く保護されています。
働いていないとたくさんのいいことがあります。
失業手当はアイルランド人なら週180ユーロくらいのお金が「期限なし」(!!)で政府から支給されます。
そして、低収入の家庭では家賃の補助も受けられるので失業手当プラス80ユーロの収入を得ら
れます。
そして無料で医療機関にかかることのできるメディカルカードも得られます。
働かずして!ですよ。
それこそ最低賃金で働くより良い収入になるので、この生活に安住して仕事を積極的に探そうと
する気にならないような人がたくさんいます。
それこそ、健康で学もある若者から30、40代の働き盛りの人たちでもたくさんのひとが失業手当
のお世話になっています。
その生活から抜け出せなくなって40,50歳になっても一度も働かずにぶらぶらしている人たちも
少なくありません。
まあ、これだけのお金が入ってくれば贅沢しなければふつうに生活して毎日パブにも行
けますからね。
この不景気で更に仕事が減っています。みんな「if
you have job, keep it!」と言っています。
なかなか仕事が見つからないので、アイルランド人なら無料で大学に進めるし、
学生としての補助金もでるので仕事が見つからなければ大学でにもいく
か、という理由で進学する人たちが多くいます。
そしてこれを政府が面倒見ています。
何か間違っていませんかぁぁぁ???
金融危機となって、国自体が外国から多額のお金を借りているというのに、未だこの制
度は変わる気配はありません。
失業者の次に保護されているのは働く人たち、被雇用者です。こちらも法律でちゃんと
保護されています。
さて、事業主はといいますと・・・びっくりするくらいほったらかしなんです。(笑)
雇用者として雇用を生み出し、高い税金を払って国に貢献しているというのに、いざ商
売がうまくいかなくなって倒産した場合、
被雇用者は国から社会保障が受けられますが、事業主は一切の補助も社会保障も受
けられません。もちろんメディカルカードももらえません。
・・・この不景気下、事業主は大変な目にあっています。人件費・コスト削減の為に事業
主自らが働き始め、
それこそ、不景気に反して下がらない家賃と給料と税金を払うために働いているような
状態です。この状態に見切りをつけた
事業主はさっさと倒産して外国へ流れる人も最近は多いようです・・。
わたしがせっせと稼いで払った税金が、悠々自適な生活を送る(よしみ的独断ですが・・)失業者
の失業保険として払われていると聞いて、
「なんて不公平!!」
と文句を言っていたのですが、すごく不思議なことに私のように文句を言っている人
が、ビジネスマンも含めていないのです。
もしかしたら彼は彼らでアイルランド人にしかわからないやり方で甘い汁を吸っている
のかなぁ?とも邪推してしまうくらい、何も言わない。
この政府の過保護とも言えるような失業者に対する手厚いケアにくらべ、
税金を払って国を支えている人たちがそれほど優遇されていない。
でも、ダビの「商売人は悪魔」と聞いて、納得でした。
すべてが繋がる感じでした。商売を始めるということ自体、悪魔に魂を売るようなもの
で、やるからには
それなりの悪人になることへの決意と勝算があるのが大前提。
「悪いことをしている」後ろめたさからか、がっつり稼いだあとの余剰分は税金やら寄付
金によって社会に還元することによりバランスを取るのでしょうか。
キリスト教ではどんな悪も贖罪することによって救われます。
日本では「働かざる者、食うべからず」と言われるように自分で努力しなければ食べ物にはあり
つけません。
でも、こちらではなんだか違うようです。
たしかに日本人のような滅私奉公的な働き方はあまり良いことのように評価されていません。
見ている方が苦痛になってくるようです。
昔WA CAFÉで働いてくれていた、ちふみさんが言っていたことを思い出しました。
ちふみさんは大学時代に神様について学問していた人で、広く宗教について知識があります。
日本の神様たちは基本働いていた、そうです。
詳しくは次回のvol
15でちふみさんに日本とヨーロッパの宗教感の違いを踏まえて、労
働に対する価値観をはじめ
さまざまな価値観の違いを生むことになったお話をしてもらう予定にしています
ので、ご期待下さい。
郷に入っては郷に従え。もう悪魔になりきってお金のことだけを考えて稼ぐしかないの
でしょうか。
だってアイルランド人でもないし、商売やって税金も払って雇用も生みだし、地元経済にも貢献し
にも貢献しているのに庇護されてもいないんだもん。
自分でやっていくしかないじゃんね。
日本みたいに正直にやっていたらいつかは報われる、のか、それとも正直者は馬鹿を見るの
か・・・。
深刻になるアイルランドのこの不景気下、頭を悩ますさまざまなトラブルがザブンザブンと大波と
なって次から次へとやって来ます。
今更ながら文化や価値観の違いや言葉の壁にぶち当たって四苦八苦しています。(い
つか笑ってお話しできる時が来たらお話ししたいと思います。)
ますますのハンデを負い、窮地に陥るよしみ。
さぁ、この苦境をどう乗り越えていくのでしょう。みなさま乞うご期待!!
負けませんよ。Keep Smiling!!!
さぁ、今日も元気にまいりましょう♪
よしみ@わかふぇ
Photo Courtesy:YOSHIMI HAYAKAWA
(アイルランド共和国現地 5/25ゴールウェイ電)
ユーロビジョンお疲れさま!Jedward で振り返る
「華の舞台」・・・・
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決勝
(Grand Final)
スウェーデンおめでとう!!